職業柄パーティーやレセプションに出席することが多く、沢山の方々との出会いの機会は素晴らしい経験です。
時には知らない方々との会話が負担で気が重い事も多いのですが・・・・様々な生き方から学ぶ事は沢山あります。
出席するということは一人ひとりがそのパーティーを楽しいものにし、主催者や他のゲストを決して不快にさせないというルールがあります。それの一つがドレスコード。
カジュアルディナーからブラックタイまで、男性はスーツとタキシードがあればいつも同じで良いのですから悩まなくても良い・・・しかし私たち女はいつも同じとはいかないのです。
だんだん年を重ねてきて華やかさを追及するとつい失敗します。しかし無難にすると自分も他の方々もつまらない・・・いつも黒を着ていても華やかなのは若いうちだけ・・・・
格があってそして自分らしく演出するのは本当に難しい・・
オートクチュールイブニングを毎回オーダーは出来ないし、ふさわしい宝飾品もないし・・・
へたにオーダーなんてすると結婚式の“花嫁の母親”スタイル・・・・・悲劇です。
若い女性のフォーマルは沢山あっても年取った女のパーティ服なんて需要がないからバイヤーが買い付けてこないのですね、きっと。
それでも何とか今までは上質のフォーマルなスーツやジャケットをレディーメイドで捜して着ていました。
最近それらがなんだかしっくりこない・・・・・
10年前にも同じ事を感じてほとんど着るものを入れ替えました。
同じ事をこの1,2年感じるのです。年を取ったのです。
そこで今まで思いもしなかった世界に足を踏み入れてみました。
古くからの友人に老舗の呉服店の女将さんがいます。彼女の手ほどきで振袖以来何十年ぶりの和服・・・
金糸銀糸、キラキラ友禅花模様に金の帯だけは嫌で、少しカジュアルダウンを目指そうと思います。和服は季節の決まりごとや格などの決まりごとが沢山ありますが、それを踏まえたうえで、私らしく着たい、勿論自分で気付けます。着方も帯の結び方も教えて頂きました。
麻が大好きなので薄いグレーの上布に麻の朝顔の帯、鳥獣戯画の絽縮緬の帯揚げ、水浅黄色の帯締め(着物は着用後しわしわでハンガーにかけてしわ伸ばし中)色合わせも独特です。あくまで控え目にさりげなく・・・
私がこだわったのはナンタケットバスケットを合わせる事・・・その為に麻を着ようと思ったのです。
バスケットで唯一フォーマルに持てるナンタケット島のかごバッグ、そしてこれに合わせてパナマの草履を京都の草履屋さんにオーダー・・・・
涼しげでしょう?
麻とはいえ肌着、長じゅばん、着物と3枚重ねるのですから暑くないはずはないのですが、これが意外と気持ち良いのです。自分はともかく、他の人を涼しくさせる、この心意気で着なくては・・
紐を結ぶというかつては当たり前の事さえ、満足に出来ていなかった事に愕然。
重ねて纏って、ひもで結ぶ・・・これは実に楽しい事です。昔の女達にとっては当たり前だった事、これを私たちは面倒くさいと手放してしまったのですね。
新しい世界を(日本人としては当たり前の)知った思いです。
それにしてもあこがれの越後上布、もう作る人がいないとかで今や文化財です。着てみたい!!
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